『花々と星々』(犬養道子
5.15事件で「話せばわかる」「問答無用」と殺された犬養毅の孫娘から見た、犬
養家と軍部が台頭してくる激動の昭和初期。犬養家の華麗な系譜にうっとりし、
リベラルな家風を痛快に思い、また、犬養道子とその母、祖母(この母方の家系が
またすごい)の凛としたまっすぐさが気持ちよかった。
武田泰淳の『貴族の階段』(貴族の娘から見た2.26事件。それにまつわるあれやこれや)の
氷見子も魅力的だが、あれは良くも悪くも小説だ。生々しさが違う。