前半のぶんを取り戻すかのように

3日、『コーヒー&シガレッツ』。ひさびさのジャームッシュ。たぶんこういう映画だろう、と思っていたら、やっぱりそうだった。といっても、キライとか、つまらないとか、そういうことじゃない。ああ、ジャームッシュらしい、ということ。夕方から代官山UNITの「ホリデイ・アフタヌーン」なるイベントへ。曽我部恵一の『恋に落ちたら』に泣きそうになる。勢いあまって、ライブ後、話しかけて握手をしてもらう。最近、握手してもらいたくなる人は、私のなかでそういない。ついてでにカラオケ。映画の予告で見た、『リンダ・リンダ・リンダ』に心を動かされ、ブルーハーツばかりを歌う。あとユニコーン。全般的にはしゃぎすぎた夜。
4日、前夜のはしゃぎがあとを引き、掃除や家の雑事。夜ご飯も家で食べる。西研と藤野美奈子の『不美人論』を読み、オットと「ブスとは何か?」について話し合う。奥が深い問題だと思った。美醜については、先天的な能力に還元されやすいけれど、社会での扱いが関わってくる以上、それは「かけっこが速い」とはやはり大きく違うわけで、自分での折り合いのつけ方と、社会システムの変革の可能性が同時に見えないとかなりつらいことになるのだなぁ、などということを思ったり。
5日、日比谷でアンゲロプロスの新作『エレニの旅』を見る。3時間の大作。巨匠の美学がすみずみまで貫かれた美しい映像だけれども、いまいち不満が残る。なんというか、『おしん』みたいな話になってるのではないか。銀座よし田でお蕎麦、松崎煎餅で和菓子を食べ、庄野潤三の新刊『けいこちゃんのゆかた』を買って帰る。本当は服も買いたかったけれど、気に入ったものがない。
映画に関しては、もやもやとした感想になってしまった。